胸の痛みがあったときには
胸の痛みが起こる要因は、筋肉の酷使、日々の過剰なストレス、心臓や肺などさまざまです。当院は整形外科の観点から、原因が明らかな打撲や骨折など外傷のトラブルに対応しています。そのため、特に思い当たる原因がない場合は速やかに内科を受診するなど、それぞれの診療科を使い分けていただければと思います。特に胸の痛みが激しい場合は狭心症や心筋梗塞などの可能性もあるため、迅速に相談をするようにしましょう。
代表的な疾患
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01.
肋骨骨折
肋骨が骨折するのは転倒・転落などのわかりやすい状況だけではありません。喘息などで咳が続いたり、上体をひねる動作が続いたりしたときにも肋骨は折れることがあります。特に危険なのは肋骨が複数骨折した状況です。肺の損傷も含む「血気胸」や、胸部と腹部の呼吸が揃わない「奇異呼吸」などを伴う場合は早急に治療しなければなりません。
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02.
肋間筋損傷
肋骨と肋骨の間に存在している筋肉が肋間筋です。外肋間筋と内肋間筋に分かれ、深呼吸をしたり、正しい姿勢を維持したりするのに必要不可欠です。
外から強い衝撃を受けたり、変に体を捻ったりしてしまうと、肋間筋を痛めることがあります。これが肋間筋損傷と呼ばれる状態です。胸の痛みに関するトラブルで最も多く見られます。
「ゴルフや野球をした後に胸部の痛みが続く」「咳が続いていて、胸に痛みが出てきた」「ぶつかった際に重い痛みがある」などの症状でお困りの方は、当院にご相談ください。 -
03.
肋間神経痛
肋間神経とは、脊髄の胸髄から出て、肋骨に沿って胸部や腹部にも至る神経です。
肋間神経痛とは、肋間神経に何らかのトラブルが起こり、さまざまな痛みが生じる状態を指します。肋間神経はさまざまな箇所に存在しているため、「電気が走るような鋭い痛み」や「重い痛みがしばらく続く」など症状の出方が一人ひとり異なります。また原因に関しても、日常生活のストレス、長時間の不良姿勢、筋肉のこり、病気や外傷など多種多様です。
治療方法としては、レントゲンや触診などで原因を正確に見極めた上で、消炎鎮痛剤や湿布の処方、リハビリ、運動療法などを組み合わせていきます。 -
04.
狭心症・心筋梗塞
心臓には冠動脈と呼ばれる血管が通っていて、常に新鮮な酸素や栄養が供給されています。しかし、動脈硬化や冠動脈の痙攣などによって、冠動脈が細くなると、一時的に心臓が酸欠状態になります。この状態が「狭心症」です。狭心症になると、胸が圧迫されたり、締め付けられたりするような痛みを覚えます。顎、首、肩、背中などにも痛みが波及することもあります。
そして動脈硬化がさらに進行するとリスクとなるのが「心筋梗塞」です。血管内の悪玉コレステロールの塊などが破裂し、心臓への血流がほとんど止まってしまった状態を指します。酸素や栄養が供給されないので、心臓が壊死する可能性があります。症状は狭心症をさらに激しくした状態で、胸の痛みも30分以上続くのが特徴です。もし少しでもいつもと違う胸の痛みを覚えたり、息苦しさがあったりした場合は、早急に救急車を呼ぶようにしましょう。 -
05.
不整脈
ストレスや運動などによって脈が早くなったり、不規則になったりするのは普通のことです。ただ、それ以外の要因で脈が不規則に打っていたり、ゆっくり打っていたり(徐脈:1分間に50以下)、速く打っていたり(頻脈:1分間に100以上)するような状態は、体に深刻なトラブルを起こします。このような状態を不整脈と呼びます。
心臓の働きが正常だと、血液は一定のリズムで送り出されるのが特徴です。しかし、何らかの要因で、心臓から発せられる電気の流れに異常が起こると不整脈を起こしてしまいます。もしも突然めまいがしたり、動悸が強まったりする場合は、早めに治療を行いましょう。長期間不整脈の状態が続くと、心臓の筋肉が弱って、心不全のリスクを高めます。不整脈の治療は主に徐脈治療(ペースメーカ治療)や高周波カテーテルアブレーション治療などで対応するのが一般的です。